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まるで屋外の美術館! アーティストが中心になって描いた「ちくらアートな海の散歩道」で壁画を堪能しよう

南房総市千倉町の海岸線沿いには、アーティストや地元の小学生たちが描いた壁画138点が並んでいます。南房総市出身のイラストレーター山ロマオさんが中心となり、全長約1.5kmの壁画を作成しました。「ちくらアートな海の散歩道」と名付けられ、クオリティの高い壁画たちはまるで美術館の作品のようです。壁画に込められた思いやストーリーをご紹介します!

目次

「ちくらアートな海の散歩道」とは

山口マオ「ちくらアートな海の散歩道」 大川エリアの壁画

「ちくらアートな海の散歩道」は、千倉町の海岸線沿いにある全長約1.5kmの壁画アートです。川口、千田〜平磯、大川の3工区あり、138点の作品が並んでいます。南房総市出身のイラストレーターの山ロマオさんが中心となり、アーティストや地元の小中学生たちが描きました。

山口マオ「花とマオ猫B」
ヤスワタナベ「カラフルラブアンドピース」
望月純「大川AREA」

一番北にある川口エリアの別名は「くじら場壁画ROAD」。昔この地域にクジラが流れ着いたという話から名付けられ、主にクジラに関連した壁画が描かれています。

山口マオ「くじら場壁画ROAD」
荒木星南「ベルーガ」
川口子ども会+坂本一樹、望月純、山口マオ「くじらや海の生き物」

3エリアのマップ。

  1. 千田〜平磯エリア
  2. くじら場壁画ROAD
  3. 大川エリア

発行:千倉地域づくり協議会

南房総出身のイラストレーター山ロマオさんが中心となり描く

山口マオ「花とマオ猫C」

元々千倉町の海岸線沿いには、約30年前に地元の子供たちやペンキ屋さんが書いた絵が並んでいました。30年間で風化し、かなり劣化してしまったため、南房総市市役所が再生のためのプロジェクトを立ち上げたのです。

以前の壁画。30年前に描かれ、劣化が進み、周りには雑草が生えている。

そこで注目されたのがウォールアート。海外では建物や壁に芸術性の高い絵が施され、見る人を楽しませてくれます。クオリティの高い絵を描いてもらうため、活躍されているアーティストにお声がけすることに。南房総市出身で、イラストレーターで絵本作家の山口マオさんに壁画プロジェクトのプロデューサーを務めていただくことになりました。お顔が印象的な「マオ猫」で知られています。

山口マオ「Dreaming」
山口マオ「花とマオ猫 A」
山口マオ「波と犬と猫」 

山口さんのつながりで多くのアーティストが壁画作成に協力してくれたと共に、山口さんや画家のクリシュナ智子さんなどが絵の先生を務める絵画教室のイベントを開催し、子供たちに絵の書き方をレクチャーし、実際に子供たちにも壁画を描いてもらいました。また、地元の障がい者を対象とする作業場に、絵の上手い男の子がいるという話を市の職員が耳にし、急遽、その男の子にも絵を描いてもらったそうです。

石井範子「海へ」
直江みちる「ハッピーバースデイ」
今井俊「カメレオン」

完成した壁画は、地域の住民や観光客に好評。以前は壁画が劣化し、周りは雑草だらけでしたが、壁画が生まれ変わった後から住民たちが定期的に草刈りをしてくれるようになったとか。

日本人初のハリウッドスター早川雪洲の肖像画

早川雪洲の壁画

千田〜平磯エリアに、実写を思わせる肖像画があります。描かれているのは日本人で最初のハリウッドスターである早川雪洲(はやかわせっしゅう)です。南房総市千倉町で生まれ、大正から昭和にかけて俳優として活躍。サイレント映画時代の1910年代から1920年代初頭にハリウッドで最も人気のあったスターの一人です。映画『戦場にかける橋』でアカデミー助演男優賞にノミネートされました。

左:塙雅夫「早川雪洲 肖像画」 右:「映画『チート』のワンシーン」

1915年(大正4年)に公開されたハリウッド映画『チート』のワンシーンが壁画に描かれています。早川雪洲は残忍な悪徳の日本人美術商を演じています。

早川雪洲の壁画を描いたのは画家で壁画家の塙雅夫(はなわまさお)さんです。東京ディズニーシーの壁画ディレクターを務め、イタリアで教会壁画の制作や修復にも携わっています。山口マオさんの大学の同窓生だったことから、壁画のプロジェクトに参加しました。

イラストレーター安西水丸のイラスト

千田〜平磯エリアに、イラストレーター、漫画家、エッセイストの安西水丸のイラストが壁画になっています。安西水丸は幼少期に重い喘息を患い、母親の郷里である千倉町白間津に移住し、幼少期を千倉で過ごしました。その頃の体験や思い出は、初期の漫画作品、エッセイ、小説など多くの作品に登場しています。

安西水丸の壁画
安西水丸「口笛のきこえる」「サーフィン」「十五歳のボート」

レンタサイクルでアートを巡るのがおすすめ!

「ちくらアートな海の散歩道」を自転車で巡るのもおすすめ。千田〜平磯エリアと、大川エリアの間にある「道の駅ちくら潮風王国」では自転車のレンタルができ、電動アシスト付き自転車も用意されています。また壁画から5,6km離れたJR千倉駅に隣接する南房総市観光協会千倉観光案内所でも自転車を借りられます。

「道の駅ちくら潮風王国」

■レンタサイクル【南房総くるくる車ららん】

レンタサイクル(電動アシスト付):1日1,000円
乗り捨て料金:別途 1,000円(13拠点で返却可能)

レンタル可能な場所

【道の駅ちくら潮風王国】

住所:〒295-0025 千葉県南房総市千倉町千田1051
電話番号:0470-43-1811

【南房総市観光協会 千倉観光案内所】

〒295-0004 千葉県南房総市千倉町瀬戸2079(JR千倉駅)
電話:0470-44-3581

南房総のカフェで一息。

壁画の周辺には海が眺められるカフェが多数あるので、休憩に立ち寄っても良いでしょう。

ペットも泊まれて女性に人気のホテル&カフェレストラン
【PORTO MAISON ROOMS/ポルトメゾンルームス】

ポルトメゾンルームス
ポルトメゾンルームス
ポルトメゾンルームス
店内

店内はペットも利用可能。

ポルトメゾンルームス
ポルトメゾンルームス
ポルトメゾンルームス
ポルトメゾンルームス

クッキー生地に濃厚なキャラメルソース、さらにバナナと生クリームをトッピングした「バノフィーパイ」がおすすめ。

【ポルトメゾンルームス】
〒295-0023 千葉県南房総市千倉町川口301
電話番号:0470-43-1008
営業時間:8:00~21:00(ラストオーダー20:00)

海の見えるカフェ【ストロベリーポット】

海女(あま)さんでもあるカフェオーナーが、自ら採取した天草からトコロテンを作る「クリームあんみつ」が看板メニュー。

クリームあんみつ
いちごクリームあんみつ(1月〜4月の期間限定)

【ストロベリーポット】
住所:〒295-0022 南房総市千倉町忽戸549-1
電話:0470-44-5552
営業時間 11時〜16時
※5月~9月までのアワビ漁期間、出漁日はお休みです。ご来店前に電話連絡して営業しているかを確認してください。
店内禁煙(デッキはペット可・喫煙可)

「千田の花畑」で花摘み体験ができる!

「千田の花畑」

「道の駅ちくら潮風王国」のそばには、さまざまな花が咲き誇る「千田の花畑」があります。近くの海の海流の影響で、冬でも温暖な気候のため、1月から3月にかけて花が咲き誇るのです。

「千田の花畑」

花のシーズンを迎えると、ストックやキンギョソウ、ポピー、ヤグルマソウ、キンセンカなどが一面に咲きます。細い畦道を歩いて花畑を散策したり、花摘みをしたりして楽しむことができます。

【千田のお花畑】

問い合わせ【南房総市観光協会 千倉観光案内所】
住所:〒295-0004 千葉県南房総市千倉町瀬戸2079
電話番号:0470-44-3581

ガイドブック「ちくらアートな海の散歩道」

まとめ

南房総市出身のアーティスト山口マオさんを中心に作成された「ちくらアートな海の散歩道」。壁画を横目にサイクリングやツーリング、ドライブをしても気持ちいいですし、最近は壁画を見ながらウォーキングする人たちも増えてきています。

天気が晴れていれば、太平洋を背景にアートがさらに映えて見えます。開放感あふれる美術館を楽しんでください!

※お車の方は「道の駅ちくら潮風王国」の駐車場をご利用ください。

文:吉田櫻子