綺麗な星空が見られる暗い夜空を守ります
みなさんは天の川を見たことがありますか?
都心から車で約90分。千葉県最南端に位置する南房総市は「光害」が少なく、夜空の本来の暗さが保たれているため、満点の星と共に肉眼で天の川を見ることができます。
ネオンが輝く大都会東京が近くにありながら、このような自然環境が保たれていることは大変貴重です。
南房総市はこの貴重な自然を保護し、後世に残すため、「星空保護区」の取得を目指し、夜の暗さを守ることに取り組んでいます。
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星空保護区とは
「星空保護区」とは、アメリカに本部を置く民間団体ダークスカイ・インターナショナルが認定する制度です。
日本での星空保護区の認定は4箇所(2024年12月現在)しかありませんが、世界では211箇所が認定されています。
南房総市が認定されれば首都圏及び関東で初めての事例になります。
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光害とは
「光害」は「ひかりがい」と読みます。
過剰または明るすぎる照明などによる悪影響のことで、次のとおり大きく4つがあげられます。
- 暗い夜空が明るく照らされ、星が見えにくくなってしまう(天体観測への影響)
- 一晩中明るく照らされてしまうことで植物の成長が狂ってしまう(農作物の育成不良)
- 同じく生き物も生活リズムが狂ってしまう(生態系への影響)
- 必要の無い場所を照らす電気はエネルギーの浪費(資源の無駄使い)
ほかにも夜眠る直前にスマートフォンなどを使うとなかなか寝付けなくなってしまうことがありますが、これも光害の一種であると言われており、画面から発するブルーライトがホルモンバランスを崩す原因になっているとのことです。
これらは全て人工的な光によるものです。
さて、光害は英語で「Light Pollution」と表記します。インターネットでこの言葉を調べると光害マップ(Light Pollution Map)というサイトを見つけることができます。
マップ上では光害の程度が青、緑、黄、橙、赤、白に色分けされており、白が最も深刻であることを表しています。
東京とその周囲を見てみると、ほとんどが白または赤です。
ほかの大都市についても同様の色です。
関東地方を拡大して南房総市を見てみると、黄色〜黄緑色で塗られていることがわかりますが、実はこれ、肉眼で天の川がギリギリ見えるか見えないかの色とのこと。
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そして千葉県の南部、特に南房総市は都心から近いながらも、東京湾や房総丘陵に囲まれていることから光害の影響が少なく、肉眼で天の川が見られる希少な場所なんだそうです。
中でも南房総市和田町上区(和田町上三原の一部)は集落や公共施設がありながらも、夜の十分な暗さが守られている大変貴重なエリアです。
学校や地域で、夜の自然な暗さの重要性を伝えます
地域の集会所や学校での出前授業などを通じ、夜の暗さの重要性を説明しながら、啓発活動に取り組んでいます。
また町中の防犯灯など、公共の照明装置を光害に対応した製品に交換し、暮らしに必要な明るさを残しつつ、その影響を最小限に抑えています。
これらの取り組みをパンフレットにまとめ、活動の際に配布しています。
またタペストリーも作成し、上区や市役所などで掲示しています。
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星空を守る暮らしパンフレット
南房総の美しい星空を楽しむプログラム
星空の保護は環境面に大きな効果があります。そしてもちろん観光にもメリットがあります。
星空は夜暗くなってから見られるので、見学自体が宿泊につながり、滞在時間の長い旅行プログラムが増えると期待できます。
南房総市では今後上区を星空見学の中心地にするため、暗い夜空を楽しむプログラムを順次展開していく予定です。
開催場所は、自然の宿くすの木を第一の観察場所にしていますが、今後は同地区内で新たな観察場所も確保しようと計画を進めています。
今後にご期待ください。
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【自然の宿 くすの木】
住所:千葉県 南房総市和田町上三原1244-1
電話番号:0470-47-5522