鰹節かつおぶし・鯖節さばぶし

　鰹かつおや鯖さばを原料として造つくられた節で、現在げんざい鰹節かつおぶしは一般いっぱんになじみが深いものですが、 鯖節さばぶしはそば・うどんの汁しる用のだしによく使われます。

• 鰹節かつおぶし
• 鯖節さばぶし

鰹節かつおぶし

　延宝えんぽう２年(1674)に、紀州の甚太郎じんたろうが土州宇佐うさ浦うらで燻いぶし乾いぬい法を採用さいようして、 今日きょうのものに近い鰹節かつおぶしの製造せいぞうに成功しました。 この燻いぶし乾いぬい法は秘伝ひでんとされ長く一部の地域ちいきのみで行われていましたが、 天明年間(1781～1789)に至いたり、紀州日高郡印南いなみ浦うらの土佐とさ与市よいちによって、 安房あは国朝くにとも夷えびす郡南朝夷みなみあさい村（旧きゅう千倉町）に伝えられ、以後、南房総みなみぼうそうは、 いわゆる房州ぼうしゅう節たかしの生産地として著名ちょめいになりました。

　また、旧きゅう白浜町しらはまちょう沢辺さわべ遺跡いせきの調査ちょうさで７世紀頃ごろの貝層そうから多量のカツオの骨ほねが 出土していることからも当時から煮に堅魚かつおと呼よばれる鰹節かつおぶしの原型のような製品せいひんを 作っていたことが窺うかがえます。

　現在げんざいの鰹節かつおぶし生産は、生産に適てきした脂分あぶらぶんが少ないカツオの水揚みずあげが少ないため 大規模だいきぼには行われていません。

鯖節さばぶし

鯖節さばぶしは、一般いっぱん家庭でそのままの形で購入こうにゅうすることはなく、削けずり節ぶしの状態じょうたいで流通している物を 購入こうにゅうしだしに使用することになります。 多くはそば・うどんのだしとして業務ぎょうむ用に使用されることが多いです。 本格的ほんかくてきなそば・うどんに挑戦ちょうせんしてみたい方は鯖節さばぶしの使用にも挑戦ちょうせんしてみてはいかがでしょうか。

　昔は、紀州もの（和歌山県）・房州ぼうしゅうもの（千葉県）が産地として有名でしたが、現在げんざいは、静岡県しずおかけん・熊本県くまもとけん・鹿児島県かごしまけん・和歌山県が主流となっています。

　鯖節さばぶしの製造せいぞうには、脂分あぶらぶんが少ない「ゴマサバ」が「マサバ」より節に向いています。 南房総みなみぼうそうでもこのゴマサバを原料に千倉町、館山市たてやまし、鴨川市かもがわしで現在げんざいも造つくられています。 千倉町では、年に１回共販きょうはん会が行われ専門せんもん業者に販売はんばいされています。 千葉県での生産高を統計とうけい年鑑ねんかんで見たとき、節類という項目こうもくで載のっているのは鯖節さばぶしのみで、鰹節かつおぶし等などは その他ほかになってしまうことから、鯖節さばぶしの比重ひじゅうの大きさが理解りかいできると思います。