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南房総 旅の玉手箱

第11回 富浦の夢人島


大房岬
  大房岬たいぶさみさき、古くは大武佐と書いた。縄文時代から人々が住み、西暦700年頃から 役小角えんのおずぬ(役の行者)や慈覚大師により開かれた信仰の岬であった。富浦町の道の駅・枇杷倶楽部から車で10分程、東京湾の入り口に突き出た断崖の台地である。幕末の砲台跡、日露戦争直前の艦砲射撃かんぽうしゃげき標的跡(断崖に、訓練のため館山湾から発射された砲弾跡が見られる)、帝国陸軍の探照燈格納庫跡などゆたかな自然と歴史が詰まっている。

 「私が大房に入ったのは、戦後中学生の頃です。それまでは軍事施設として一般には閉ざされていました」と話すのは、大房岬のぬしともいうべき鈴木勇太郎さんである。19年間の教師生活を経て、ストレリチア(極楽鳥花)の生態研究に興味をもち南アフリカへ。原種は小さい花だが、品種改良により大きな極楽鳥花が誕生。「私はり性」と鈴木さんはいう。
 大房岬から望む周囲100メートル程のおむすび形の小島がすずめ島である。東京湾唯一のクロサギの繁殖地として知られる。鈴木さんは10年間、ほぼ毎日、雀島に通い、クロサギのフンにまぎれながらその生態を撮影し写真集、「海辺に舞うクロサギ」を出版した。
 「今の世の中、何か人のためになることをしてみたい。社会から認証されたいと考えている人は多いと思いますよ」。鈴木さんは南房総の「語り部」の養成に力を注いでいる。地元の主婦などが観光客や子供たちに大房岬などをガイドする。鈴木さんのガイド養成講座上級コースを終了した「語り部」は15人を越え る。鈴木さんは教える、「歌は語れ、語りは歌え」、単調な解説は素人まるだし。 内容を伝えることは目的だが、旋律やリズムの変化、情緒的な響きを加えて語るのがプロのわざ。民話は語るもの、専門的な解説調は見当違い。
 地域は夢見る人がいて、ドラマチックに語る人がいて、単なる無人島も、夢人島に変わる。大房岬はまだまだ面白くなっていく。

 追伸、鈴木さんはいまサンゴアロエの増殖に成功し、普及に努めている。サンゴ色の花、バラの花びら状に開いた葉、すぐれた薬効と、サンゴアロエはまさに“アロエの女王”なのだ。


大砲跡が残る断崖


携帯用ギターで歌もまじえてガイドする鈴木勇太郎さん

クロサギウォッチングも可能


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