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南房総 旅の玉手箱

第19回 夫婦めおと職人の、田舎暮らし。


「DEW」は旧三芳村の
平松城址の下にある。

 今年(平成17年)の早春に、南房総市池ノ内、里道の突き当たりに「DEW」という名の工房ショップがオープンした。小窓から新緑がのぞく気持ちよい空間に、一点ものの家具類と琥珀こはくを使った手づくりアクセサリーが置いてある。名づけてフリースタイル・ファニチャー。使う人が使い方を創造する。ティテーブルに、ベンチにも、またドレッサーとして、自由にどうぞ、と語りかける家具たち。たとえば、マンガと呼ばれる馬に引かせるくわを背もたれにしたチェアなどがある。古い農具や道具などを組み込んだ、たしかに名前の付けようがない、しかし、欲しい人には絶対欲しい、用の美を備えた家具である。

  家具職人・今井茂淑しげとしさんと奥様の京子さんは、ともに53歳、中学校の同級生で21歳のとき結婚した。茂淑さんは東京の港区生まれで、子供の頃は、家から東京タワーが段々建ち上がっていくのを見ながら育ったという。彼は、20代の後半まで「ワーロックス」というロックバンドでドラムをたたいていた。京子さんは生活をささえる腕として、琥珀こはく専門の研磨士の資格をとり、茂淑さんより一足先にアクセサリーの手づくり職人になった。
  茂淑さんの転機は30歳。喰うための技術を身につけるために家具職人をめざした。今井家は代々、信州諏訪神社の宮大工であった。やはり血はあらそえない。ドラムのスティックを、カンナ、ノミ、ノコギリに持ち変えた茂淑さんは、8年ほどの修行を経て、手わざの優れた家具職人として一本立ちしたのである。
 京子さんは10代の後半ごろから、いつかは田舎暮らし、田園生活にあこがれていたというから歴史は長い。娘さんが高校3年になったとき“よっしゃ”という感じで田舎暮らしにギアを入れた。娘さんも応援してくれたそうだ。世田谷のお店、府中の家具工房、武蔵小金井の自宅、すべてを引き払い、南総への「引越し大作戦」を展開し、いまだ続いている。
  4月、「DEW」の周りは山菜がいっぱい。フキ、セリ、ノビル、タラノメ、サンショウなど。たそがれどき、2人で野道を歩いていると、近所の人が畑からにこにこ。これ持っていきなさいと、ダイコンやウコンの根などをくれるという。


「古い家具の修理を受けると
作った職人の技(わざ)が見える」 と今井さん。


馬鍬(まぐわ)を使った
チェアみたいなもの。

京子さんの
琥珀のアクセサリー作品。

手八丁の今井さんを
友人がイラストに。


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