南房総 旅の玉手箱

第22回 種をまくひと


風、土を歌う歌手・Yae

父「お前は田舎ふるさとがほしいか?」
娘「うん、ほしい!」
父「よし、じゃあ、来い」と連れて行かれたところが、南房総の鴨川自然王国。父は学生運動から農的生活に転じた藤本敏夫氏。娘は、当時小学生の八恵ちゃんだった。
東京では飼えなかった犬と山の中を散策したり、大きな山桃の木に掛けたブランコに乗ったり、地元の友だちと日の暮れるまで遊んだり、ほとんど毎週末、東京から鴨川へ行ったという。
自然王国は鴨川市の棚田「大山千枚田」の先、国王は藤本さん。「持続可能な循環型田園都市構想」を残して2002年にガンにおかされく。「父は、家族そろって土を耕しながら暮らしたかったんだと思います」と八恵ちゃんはいう。
その頃は、八恵ちゃんの母である歌手・加藤登紀子さんも、仕事柄、鴨川移住には反対であった。

 「歌手だけにはならないぞ!」と言っていた八恵ちゃんも、2001年、25才のとき、歌手Yaeとしてデビュー。ライブや演劇など幅広い活動の中で4年が過ぎた。ある時ふと、一度立ち止まって自分を見つめなおしてみたいと思ったとき、足は父とのふるさと鴨川自然王国へ向かった。ある日彼女が通りすがると、王国内の大豆畑で草を一生懸命抜いている研修生がいた。「草、抜かないとね」と彼がいい、「そうなんだ」とYaeは手伝いに畑に入った。草いきれと強烈な土のにおいの中、草とりをつづけていると、何か都会で自分の心にのしかかっていたものが、ポロリとはがれ落ちるような感じがした。

 2005年Yaeは王国で結婚式を挙げる。
新郎は大豆畑の研修生だったミツヲさん。鴨川の古民家に居を定め、一子和麻君も誕生する。
「人が生きていく上で、絶対必要なものは、土です。恋をして、結婚をして、子を産み育てる。自然の中で四季を感じ、畑を耕し、おいしい野菜を育て食べる。大切な家族と囲む食卓に、本当の幸せを感じます」。
2007年は、彼女の生き方がヒントになってくれるならとの想いで、農漁村を巡る「種まきライブツアー」を始めた。

http://www.yaenet.com/


収穫直前の大山千枚田


自然王国の中で、ライブも。

藤本敏夫記念館(鴨川自然王国内)


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