南房総 旅の玉手箱

第23回 南房総は、ちらし寿司


カメラマン・飯田裕子さん

 女流カメラマン、飯田裕子さんの目から見ると、南房総の風景は、とても多彩で、鉄火丼というより、ちらし寿司だという。北海道のように、ドーンと大きな風景が広がるというのではなく、車で10分、20分と走っただけで風景ががらっと様変わりする。3方が海に囲まれた半島の先端、東の外房はオレンジ色の朝日、西の内房は金色の夕日に富士山のシルエット、高い山はなく、ポコポコとした可愛らしい里山の中に棚田が見える。たった一日カメラを持てば、だれでも、ちりばめられた、いろいろな自然が撮れる。

 飯田さんのおすすめ南総スポットを聞いてみた。
1つは富浦の大房岬たいぶさみさきだという。暗いマテバシイの森を下ると、パッと明るい海岸と舘山湾が望める。岬の西側には、いまだにどこまで続いているのかわからない海賊の隠れ洞窟があったりする。2つ目は鴨川の大山千枚田。稲の実りの季節はいうまでもないが、田植えの直後の早朝がいいという。朝霧の中の棚田からウグイスの鳴き始めが聞こえてくる。3つ目は白浜、根本海岸の屏風びょうぶ岩。白い砂浜は、小さな赤ちゃん貝でできている。「引き汐のとき、怪獣の背中のような屏風岩の間をよせて返す波を見ていると、あの世の海岸のようです・・・」

 飯田裕子さんは、東京生まれのプロカメラマン、9年前から南房総市の岩井で、「田舎暮らし、ひとりぼっち」を始めた。仕事は雑誌などの海外ルポが主で、それも中国や太平洋の島々など辺境の地が多いという。少数民族と共に暮らしたり、女性は乗せないといわれる捕鯨船に突撃的に乗り込み、大船酔いで、鯨と一緒に横たわりながらシャッターを切ったという話を書くと、読者の人たちは、色気ぬき、男まさりのカメラマンを思い浮かべるだろうが、本人は静かな話しぶりのおしとやかで、おしゃれな人。日本大学芸術学部写真学科の三木ゼミに入った頃、三木先生に、「裕子たちは、将来女のカメラマンだけど、ジーパンはいて、汚ねえかっこで仕事すんなよ」と言われたそうだ。

  「フィジーの魔法」千早書房 飯田裕子+山口由美 共著(2007年9月発行)


大房岬から見た富士山
Photo by yuko iida

棚田月照
Photo by yuko iida

波高い日の屏風岩(根本海岸)
Photo by yuko iida

飯田裕子、南総写真集


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