南房総 旅の玉手箱

第25回 川おやじ


川おやじ・青木雅彦さん
 かつて山には山ガキ、川には川ガキ、海には海ガキがいた。子供たちは、学校から帰ると山ではターザンごっこ、川では潜ったり、小魚を取ったりして遊び暮れていた。あの頃の山ガキ、川ガキは、いま、どこへ行ってしまったのだろうか?
 青木雅彦さん(50才)は、一日中川で遊んでいる(れっき)とした「川おやじ」なのだ。といっても渓流釣りをしているのではない。川を歩き、石を拾っている。これを「探石行」という。
 青木さんの生家の前を流れる川が「丸山川」。鴨川市の嶺岡山系を源流とし、丸山町の酪農の里、剣豪の里(御子神(みこがみ))を通り、丸山町ローズマリー公園あたりに河口がある。青木さんがいうには、地質学者も興味を持つ不思議の山・嶺岡から出る不思議の石が、丸山川に流れ出ている。真黒(まぐろ)石、ヘソ石、馬蹄石、馬糞石、化石を抱くノジュール、鉄丸石などなど。

1.真黒石 2.鉄丸石 3.ヘソ石 4.ノジュール
  青木さんがご近所から「だいじょうぶ?」と思われるほど石にのめり込んだきっかけは、初めて丸山川で拾った(採石した)石が、千葉県でもめずらしい景色の「真黒石」だった。鯨肉のブロックをそのまま堅い炭にしたような重黒(おもぐろ)い石である。
 “探石(たんせき)日和(びより)”というのがあるそうだ。台風で増水した水が引いた朝のことである。もう一人の川おやじと、リュックを背負い、小型のピッケルを持って、いそいそと川へ入る。一日5里程をうなだれ(・・・・)ながら歩く。帰ってきて、今日の石を洗い清め、二人でながめながら語り合うこと4〜5時間、川おやじたちの極上の時間が流れる。
 青木さんの30代は、東京の広告プロダクションに勤めるバリバリのクリエイティブ・ディレクターであったが、Uターンして、館山の企画・印刷会社「集賛舎」に入る。
 「自然の石には、不思議な宇宙感があります。丸山川には、俺との出会いを待っている石たちがいるんですよ」。
 青木さんのアトリエは、石だらけで、庭まであふれている。新婚の奥様から見れば、単なる「石ころ」だが、税法上も宝石と異なり、単なる石ころ。料亭などで何千万円で取引されるような石でも、相続税は(ゼロ)だそうだ。

不思議の川・丸山川

収集した石は、
アトリエから、はみ出している


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